ケモメトリックスとは
コンピュータが化学の分野に使われるようになってきた1960年代後半より大量の化学実験データの獲得とデータ処理が可能となってきた。1970年代にはアメリカでは分析化学者KowalskiがJurs、Isenhourと共にパターン認識を利用した化学データの解析に着手した。一方ヨーロッパでは、ベルギーの分析化学者Massartはグラフ理論などの新しい数学的手法を用いた研究を開始した。このような世界的状況の下でケモメトリックスが登場してきたわけである。
スウェーデンのウメオ大学の物理化学者Svante
Woldは1971年に研究助成のための申請書にケモメトリックスという造語を使った。これがケモメトリックス(Chemometrics)という語の始まりであるが、1972年彼の論文中に研究室の名前としてスウェーデン語(Forskningsgruppen
för
Kemometri)で使われているものが、公的な書類としては最も古い。S.
Woldの父親Herman
Woldが計量経済学(Econometrics)の研究者であったこともあり、S.
Woldは数学および統計学の化学への応用に興味を持ってケモメトリックスという化学の新しい研究分野を開いた。計量化学とはケモメトリックスを日本語に訳したものである。
ケモメトリックスでは、化学データの規則性や特徴の抽出、さらにはデータのモデル化を主要な役割としている。そのためにさまざまな統計手法などが用いられている。手法としては主成分分析、重回帰分析、PLS,ニューラルネットワークなどが用いられ、構造-活性(物性)相関、材料設計、品質管理などの幅広い分野に用いられている。
CACフォーラムでは、独自のソフトウェアツールCHEMISHの開発、手法の具体的な利用方法などを通してケモメトリックスの普及に努力している。
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